これは、「ほくろ戦隊ダイブツダー!」シリーズの続編に当たるSSです。
キャラクターの関係が複雑ですので、できれば順にお読みくださいませ。
むしろ、これだけ読むと意味が分からない自信があります。はい。
全部読んだけど、よく分からんという方は(ごもっとも!)、
資料室(同窓別窓)をご参照ください。

ほくろ戦隊ダイブツダー!
〜ハリセンジャーの罠?!






 不動峰の最寄り駅へと向かう電車は、夕方早い時刻のせいか、ほとんど混雑らしい混雑もしていない。だが、東方と南は若かったし、正義の心に燃えていたので、座りたいなどとは思わず、扉の前で行儀良く立って、窓の外を眺めていた。線路脇の土手には一面の若草。黄色かったり薄紫だったり、何の花なのかは分からなかったが、温かい気持ちになれるような、柔らかな色に満ちていた。
「でさ、千石が変なコトを言うもんだから、俺、びっくりしてつり革に頭ぶつけてさ。」
「気をつけろよ、お前、無駄にでかいんだから。」
「無駄にかよ。」

 今日も何事もなくすむように。平和な東京であるように。
 ダイブツダー本部である不動峰の部室で、今後の対策を話し合うために、部活後の疲れた体に鞭打って出かけてゆく彼らの目には、それでもその対策会議が無駄になるようにと願う純然たる正義の魂が静かに燃えていた。

 電車がホームに滑り込む。そこは、不動峰まであと数駅のところにあるちょっとしたターミナル駅で、ホームには大量の人の波。勢いよく開いた扉に、何気なく外へと目をやった東方は、ふと眉をひそめた。
「おい。あそこにいるの、千石と……桜井、だよな?」
「んなはずあるか!」
 東方の言葉を反射的に否定しながら、南も扉の外を覗く。そして、二三度瞬きを繰り返し、言葉を失ったように東方を見上げ。
「やっぱ、そうだよな?」
 確認を求める東方に、信じられないといった風に小さくうなずいた。
 向かいのホームの雑踏の中、千石に連れられて俯きがちに歩く桜井の姿があり。その表情は見て取れないが、間違いなく桜井の姿があり。そういえば、今日、千石は部活が終わるなり部室を飛び出して行った。何か楽しい予定があるらしく、いつも以上ににたにたしていたのだけれども。
 と、そこまで考えてはっとする。
「おい、千石のやつ、桜井に何をする気だ?!」
「千石がというか……ゴクラクダーがだよな。」
 東方はいつも通り、おっとりとつぶやき。
「俺はあいつらを追いかける。南は本部に行って、橘にこのコトを伝えてくれ。」
 南を見下ろして、宣言した。
「だけど、危ないだろ!お前一人で……だいたい、お前は後方支援で……!」
「大丈夫。心配すんな。俺、今日はもう、宿題終わってるから。」
「や、宿題の心配してるわけじゃなくてだな!!」
 こいつ、ホントに分かってんのか?!相手がゴクラクダーで……危険きわまりない相手で……。
 南の動揺を見透かすように、東方は穏やかに笑うと。
「橘たちによろしく伝えてくれ。あと、これ、みんなで喰ってくれ。」
 鞄から取り出した菓子の袋を南の手元に押しつけ、東方は電車を降りた。それを待っていたかのように、扉が音もなく閉まり。
「東方……!」
 なんで、ここでハバネロなんだ……!
 ってか、いつ、宿題やったんだ……!
 そう心に叫びつつ、南は、桜井を追って向かいのホームへと向かう東方に目をやり。
 そして、目にした。
 背後から、東方の腕をつかむ少年の姿を。
 その少年は、小首をかしげつつにっこりとほほえんで。振り向いた東方に、何事かを告げた。
 いや、何を告げたかは、聞かなくても分かる。
「東方くん、君が桜井くんを追ってここで下車するのは分かっていました。すべてシナリオ通りですよ。んふ。」

 桜井……!!東方……!!!!

 窓の外、流れてゆく花咲く土手を、南はなすすべもなく呆然と見つめていた。
 俺、今日、宿題やる暇、あんのかな……。
 電車の単調な響きの中、時だけが淡々と過ぎていった。



 ばたんっ!!
 激しい音とともに開いた扉。すでに本部に集まっていたダイブツダーたちは、肩で息をする南の姿を見出し、目を見開いた。普段の南なら、そんな乱暴なドアの開け方をするわけがないし、息を切らして走ってくるわけもない。しかも、彼の隣には東方の姿がなく。
「おい、どうした?」
 大石が声を掛ければ、ゆっくりと南が顔を上げる。そして、言葉を選ぶ余裕もなく、ただ心に浮かぶありのままの事実を口にした。
「……東方と……桜井が、ゴクラクダーに、攫われた……!!」
 南の掠れた声に、石田が持っていたペットボトルを取り落とし。
「……桜井……っ!」
 何も持たずに部室を飛び出していこうとして、桔平に押さえ込まれる。
「どこへ行く気だ。」
「どこって!ルドルフの部室へっ!!」
「どうやって行く気だ!」
「電車に乗ってですっ!!」
「電車乗るなら、財布持ったか?」
「……あ。」
「駅に着く前に気付いて良かったな。」
「……はい。取り乱して、すみませんでした。」

 南は。
 荒い息の下、桔平に何かを突っ込みたい気持ちでいっぱいだったが、まともに声が出なかったのと、だいぶ混乱していたせいで、とりあえず心の中でこっそりと突っ込むだけで我慢した。

「で、東方と桜井が攫われたってのは一体?」
 大石が話を引き戻す。それに安心した南は。
「聞いて、くれ。……順を、追って、話す……。」
 ふぅっと深く息を吐き出した。



「千石!!桜井を離せ!!」
「桜井くんは自分の意志で俺たちと一緒に来てるんだよ。(にたにた)」
「東方くんも、地味な割に、ずいぶんとしつこい人ですね。んふ。」

 ここはゴクラクダーの秘密基地、ルドルフ中学男子テニス部の部室。
 すぐにでも桜井を奪い返し、ダイブツダー本部に向かう予定だった東方だが、俯いたまま東方と目を合わせようとしない桜井をどうするコトもできず、そのままゴクラクダーの術中にはまる形となって。
 彼らがたどり着いたとき、部室では赤澤が金田や裕太、柳沢らと何かを相談しながら部誌を書いており、極めて和やかな雰囲気だったのだが、観月と千石の登場で、彼らは一気に青ざめ、瞬く間に部室を後にした。
 恐るべし!ゴクラクダー!!
 観月が各人に椅子を薦める。桜井を挟んで千石と観月が座り、扉から一番離れた場所に東方が座った。
 赤澤たちの去った後の、がらんとした部室の広さ。
 東方はそのときはじめて、ゴクラクダーに恐怖を感じ、身の毛のよだった。けれど、桜井を護るために今は怖じ気づいている場合ではない、と自らを奮い立たせ、二人を睨み付ける。
 しかし、観月は涼しい顔で微笑んで。
「んふ。桜井くん、説明してあげてください。君がなぜボクたちに協力してくれる気になったのか。」
 観月の、穏やかで温かな声。
 桜井が桔平を裏切るコトなど、考えられない。
 そう心に固く信じていた東方は、顔を上げた桜井の目にはっとする。
「東方さん。すみません。俺……。」
 桜井はまっすぐと東方の目を見据えて、言葉を紡ぎ出す。
「俺……ボケ倒しはもう嫌なんです……!!」

 静寂が部室を支配した。
 ボケ倒しは……もう嫌……?
 東方の思考が桜井の言葉に追いつくまでに数秒の時を要し。
 その数秒を待って、観月がゆっくりと口を開いた。

「東京の平和を脅かすもの。それは、悪の神奈川でも、邪の千葉でも、まして眼鏡の軍団でもなく……『ボケ倒し』だと思いませんか。たとえ、正義を守っても、この地がボケ倒しに満ちていては、真の平和とは言えないのです。突っ込まれないボケは、悪や邪や地方分権よりも遥かにボクたちの平和を脅かします。そこで、ボクは考えました。このボケ倒しの世を救うために、何ができるのか。んふ。」
「で、悪も邪も眼鏡も正義も越えて、ツッコミの人たちが一致団結し、東京の平和のために戦うツッコミ戦隊を作ろうと思ったんだよ。さすが。観月くんのシナリオはすごいよね〜!俺、観月くんの仲間でホント、ラッキー!!(にたにた)」

 ごうっと音を立てて、窓の外を風が吹き抜けてゆく。空は薄墨をはいたかのようにぼんやりと暗い。
 一瞬の沈黙の後に、桜井がゆっくりと口を開く。
「東京の正義は……橘さんたちが守ってくれます。でも……正義や平和を守りぬいたとしても、いつかこの世界はボケ倒しに冒されてダメになってしまう。それを防ぐために、何かできることがあるなら、俺……。」
 まっすぐな目が東方を見上げた。
 千石が深く座り直して、姿勢を正す。
「だからね、東方。桜井くんはツッコミ戦隊ハリセンジャーに参加してくれるんだ。(にたにた)」
「趣味悪い名前だな!そりゃ。」
 ついうっかり、素で突っ込んでしまった東方は、真顔の桜井にぐっと手を掴まれ。
「そうですよね!!やっぱりそうなんだ!!東方さんも、東方さんもツッコミ戦隊ハリセンジャーの仲間ですよね!!」
 きらきらとした眼差しで見つめられて、二歩ほど椅子ごと後ずさる。

「戦隊名を聞いて、ツッコミを入れるかどうかが、ハリセンジャー参加の資格試験なのですよ。んふ。」
 満足そうに何度も頷く観月。
「ちなみに、グループ名の第二案はツッコミ天使ハリセンジェルでした。んふ。」

 今日は風が強いのだろうか。窓ガラスを揺らして、砂塵を巻き上げて、また、ごうっと風が吹いた。



 時間を遡って。
 場所は六角中。終礼が終わったばかりの時刻。体育館裏に二人の少年の姿があった。

「おい、呼んだか?」
「ああ。バネ。こんなところにわざわざ呼び出してごめんね。くすくす。折り入って頼みたいコトがあるんだ。」
 辺り一面を覆う木々の緑。足下には貧乏草が生い茂っていた。
 黒羽はしばらく黙って、相手の顔を見つめ、それから頭を掻いて。
 ぷつっと、その額に人差し指を突きつける。
「頼みがあるってのは、良いけどよ。なんで、六角の制服着てんだ。淳。」
「……くすくす。亮だと思ってくれるかと思ったのに。やっぱり幼なじみはだませないモノだね。」
 少しだけ寂しそうに、そしてちょっとだけ嬉しそうに笑いながら、淳はくるりと身を翻し、体育館の壁に背中を預けた。
「だませないも何も……髪短くて、はちまき巻いてたら、見間違えるわけあるかよ。」
 今度はぴしっと、胸元への裏拳が決まる。
「くすくす。それもそうか。ねぇ、バネ。千葉を裏切った俺の頼みなんか、聞けない?バネに……東京まで来てもらいたいんだ。ねぇ、俺を助けると思って。」
 視線を合わせないまま、言葉を紡ぐ淳。立ちこめる草いきれ。
 一瞬、黒羽は目を大きく見開いて、ふっと脱力し。
「ばかか。お前は。裏切り者の頼みを聞いてこその、邪だろうが。」
 にぃっと笑って見せた。



 そして、今度は立海大附属のテニスコート脇でのできごと。
 部活が終わって。ジャッカルは今日の真田の最速「たまらん!」が、0.3秒台に突入したコトに気をよくして、御機嫌でボールを数えていた。
 そこへ。
「わっ!!すみません!!」
 夕陽の色に染まる空の下。線の細い少年が、くらりと倒れ込んできて。
「おっと。気を付けろよ。」
 片手で支えてやりながら、ジャッカルはそちらに視線を向けた。

「……青学不二……?!」
「あれ?ジャッカルくん?ということは、ここは立海大附属?(にこ)」

 白々しく辺りを見回して驚いてみせる周助。その見事な白々しさに、ジャッカルはついうっかり素直に騙された。
「ああ。ここは立海だが。どうした?」
 見れば周助は両手に大切そうに何かを抱えていて。
「うん。裕太に……弟に食べさせてやりたいと思って、浅草名物草加せんべい横浜本舗にせんべいを買いに来たんだけど、駅に戻る途中で道に迷っちゃって。(にこ)」
「草加せんべいが浅草名物かよ!浅草名物が横浜本舗かよ!」
「だって、本当なんだ。でね、ここの七味せんべいが絶品でね。裕太が喜ぶ顔を想像してついたくさん買っちゃったんだけど、ちょっと買い過ぎかなあ。(にこ)」

 軽く肩を回して、穏やかな微笑みを浮かべる周助に、ジャッカルは。
「良かったら、運ぶの手伝ってやろうか?」
 生来の人の良さ、もとい、人の悪さを発揮してしまって。
「え?頼んで良いのかな?ボク、東京の人間なのに?(にこ)」
「おう。部活の片づけをさぼるのは立派な悪だからな!」
 背筋を伸ばして胸を張るジャッカルを、眩しそうに見上げた周助は、小さく頷いた。
「じゃあ、お言葉に甘えて。お願いするよ。(にこ)」
「おう……って、全部、俺が持つのかよ!!」
 風は海から吹いてきていた。潮の香りと、夕暮れの空。

 駅まで運んでやる、というつもりが。
「裕太に早く食べさせてやりたいんだ。(にこ)」
 周助の反論を許さない一言によって、ジャッカルはなぜかルドルフに行く羽目に陥るのであった。



 もう一度、時とところが変わって、今度は氷帝学園の部活帰り。
「忍足〜。大変〜。」
「なんや?ジロ。」
 家路に就こうとした忍足の制服を、芥川が引っ張った。
「東京の平和が〜……じゃなくて、地方自治の眼鏡がピンチ〜。」
「な、なんやて?!」
 忍足の伊達眼鏡がきらりと怪しげな光を放つ。
 夕方の薄暗くなった空気を裂いて、その光は芥川の顔を照らした。
 地方自治の眼鏡に危機が訪れるのなら、何とかそれを防がなくてはならない。
「詳しく話してくれへん?」
「ん〜。あのね〜。眠……zzzz」
「話の出だしで寝るな!!ジロ!!」

 他の部員達はぞろぞろと部室を出て、足早に帰っていく。
 いつもは遅くまで部室で部誌を書いている跡部も、ダイブツダー会議があるせいか、鍵を宍戸に預け、樺地を伴い、今日はもう姿を消している。
 扉に寄りかかって、早く出てけとばかりに室内を睨み回す宍戸を横目に、忍足は芥川を揺り起こそうとして。

「zzzz……真相は……観月が知ってる……zzzz」
 寝言のような芥川の言葉にはっとする。
 ジロに聞いていても埒があかない!観月か。観月に直接確かめれば良いんや。
 きらりとムダに眼鏡を光らせて、忍足はルドルフへと向かう決意を固めた。
「あ〜。忍足〜、ルドルフ行くなら、俺も連れてって〜。」
 寝ているのか起きているのか、よく分からないが、むにゃむにゃ言いながら、制服の裾を離さない芥川。小さく溜息をつくと、忍足は目をこすりつつも何とか立ち上がった芥川の腕を引き。
「じゃあ、鍵、任せたで。お疲れさん。」
「おう。また明日な。」
「またね〜。」
 宍戸に声を掛けながら、部室を後にした。



 こうして。
 役者は揃った。



 南が、荒い息の下、とぎれとぎれに語る言葉に、ダイブツダー本部は水を打ったように静まりかえる。
 ゴクラクダーは、なぜ、非戦闘員の桜井を狙ったのか。
 そして、罠を張ってまで、東方を捕らえようとしたのか。
 石田は唇を軽く舌先で舐め、大きく息をついた。少し冷静さを取り戻したらしいその姿に、大石は微笑んで。
「とにかく。俺たちにできることをやるしかない。」
 爽やかに宣言した。
「そうだな。」
 力強く桔平が頷けば、本部はにわかに活気を取り戻す。
 そうだ。何も恐れるコトはない。今までだって、過酷な戦いの中、この手で東京の平和と正義を守ってきたんだ。

「大丈夫だよ。桜井も東方も。俺、ゴクラクダーの不二と仲良しだけど、不二って絶対、すぐにトドメを刺すようなタイプじゃないから!ねちねちといたぶってから、トドメを刺すんだ。だから、心配しなくて平気!」
 満面の笑みで、菊丸が保証する。
「……それで、安心、できるかぁっ!」
 残る力を振り絞って、南は菊丸の額にツッコミを入れ。
「大石〜。南がぶった〜。」
「今のは英二が悪いと思うぞ……?」
 大石の常識的なリアクションに、安堵したのもつかの間。

「それにさ。桜井くんって地味だもん。絶対、そんな大変な事件に巻き込まれるタイプじゃないって!」
 明るく言い放つ杏の声。
「それは東方もだろう。二人揃って、影が薄くて良かったな。」
 鷹揚に応じる跡部。南が突っ込む前に、桔平が動いた。
「おい。二人とも。いい加減にしろ。」
 低く響く桔平の言葉に、さすがの跡部も口を閉ざし、ゆっくりと向き直る。
「あーん?」
 部室の一番奥で、腕組みをして座る桔平が、顔を上げ。
「良いか。冷静になれ。地味か地味じゃないかなど、問題じゃない。桜井と東方の共通点……それは、オールバックだ。」
 言葉を句切りながらはっきりと言い放てば、愕然とした様子で大石が応じる。

「やつらの狙いは……オールバック狩りなのか……?!」

 南は息を呑んだ。一体……一体、オールバックキャラを狩って、どうするつもりなんだ。ゴクラクダー!!
 もちろん、その問いかけに答える声はなく。ただ、ここで座り込んでいても、何も改善されるわけでもなく。
「行くぞ。」
 すっと、桔平が立ち上がる。その威厳に満ちた横顔に。
「ああ!」
「おう!」
「はい!」
「うす!」
 大石、南、石田、樺地が応じて。

「南!俺が東方の分までフォローするから!」
「悪いな。菊丸。」

「石田さん、何かあったら、桜井くんの代わりに手伝うからね!」
「ああ。すまない。杏ちゃん。」

 静かに。
 ほくろ戦士達は合掌し、戦場へと駆けだしていった。



「ねぇ、サエさん!バネさんは?今日、休むって言ってた?」
「聞いてない。授業にはいたけど……珍しいな。あいつが部活さぼるなんて。」
 再び場面は六角へと移る。
 部活が始まってずいぶん経つころ、いくら待っても姿を見せない長身の三年生を、部長が探し始めた。
「剣太郎。あのな、バネは朝礼台の下にはいないから。」
「え!隠れてるかもしれないでしょ!!」
 跳んだり跳ねたりしながら、見当違いな場所ばかり覗く葵に、苦笑しながら。
 佐伯は辺りを見回して、樹が不安そうな目をしているコトに気付く。

「どうしたの?樹ちゃん。」
「俺の……せいなのね。」

 樹は俯いて、小さくしゅぽーと息を吐いた。佐伯は樹の顔を覗き込むようにして。
「何があったの?」
 気遣わしげに尋ねれば。
「さっき、淳がバネを捜してたのね……淳、一生懸命亮のふりしてたのね。だから、俺……淳なのねって言えなくて……バネに、亮が呼んでるのねって言ったのね。きっと……バネは淳に攫われたのね……。」
「うん?淳が来てたの?くすくす。」

 俯く樹の肩をぽんと叩いて、亮が小さく笑った。
「なんだ、俺にも声かけてくれれば良かったのに。くすくす。」
「ごめんなのね。」
「良いよ。くすくす。樹ちゃん困らせるなんて、淳も邪なやつだな。」

 テニスコートに風が吹く。巻き上がる土埃に、樹は何度も瞬きを繰り返して。
「淳の言う通りにして、バネに嘘教えたのね。仲間に嘘教えたのはいけないのね。」
「何言ってるの?樹ちゃん!!東京の淳さんの言うこと聞いて、味方のバネさん騙すなんて、すごい邪じゃない!!」
 いつの間に戻ってきたのか、葵が話に飛び込んでくる。
「そうだね。剣太郎の言う通りだよ。」
 佐伯がにっこりと、樹の背中を叩き。
「じゃ、俺たちも部活さぼって、バネを迎えに行こうか。」
 全員の顔を見回しながら、まるで決定事項のように提案した。
「すごいや!!部活さぼったバネさん迎えに、みんなで部活さぼるなんて、ボクたち、すごい邪だね!!」
 葵がはちきれんばかりの笑顔で叫び、東京侵攻に向けて準備体操を始める。
 その横では、天根と樹が邪虎丸の調整をしていて。
 埃っぽい風の中に、佐伯は海の音を聴いたような気がした。



「集まってもらったのは、他でもありません。」
 薄暗い公園の片隅で、大和が眼鏡を光らせた。
 町はすでに夜の色に染まりかけているというのに、大和らの一帯だけが、初夏の夜明けのような爽やかな輝きに満ちている。
「地方自治の未来を担う我らが仲間、忍足くんが……かの中央集権の徒、ゴクラクダーの魔の手にかかったのです。」
 きらーん!
 インテリゲンチャーたちの眼鏡が、動揺の色に光る。
「それで、忍足は今……?!」
 乾の逆光が、眼鏡の乱反射を越えた輝きで大和に迫る。
「落ち着いて下さい。彼は無事です。今、ゴクラクダーの秘密基地で囚われていますが。何も問題はありません。我らが眼鏡キャラである限り、地方自治の夜明けは近いのです。ご覧なさい。この闇の向こうに、眼鏡の眼鏡による眼鏡のための眼鏡があるのです。」

 きらーん!
 インテリゲンチャーたちは、大和の言葉に感じ入ったように眼鏡を光らせた。

「しかし、なぜ、忍足がゴクラクダーの秘密基地にいると分かるんです。」
 手塚の問いかけに、大和は。
「良いところに気付きましたね。手塚くん。」
 満足そうに微笑んで、人差し指を立てて見せた。
「実は、忍足くんの眼鏡には仕掛けがあったりなかったりします。ここにいる室町くんが、いろいろ取り付けたり取り付けなかったりしてくれたのですよ。おかげで、彼の居所が分かったり分からなかったりするのです。」
 夜の町を、不思議な逆光が駆け抜ける。

「なんだ!ルドルフに用があるなら、ルドルフ集合にしてくれれば良かったのに!俺、すごい無駄足ですね!」
 野村がにこにこと言い放ったが、大和は人差し指を横に振りながら。
「ちっちっちっ。違いますよ。野村くん。君が払った電車代は、電車会社を通して、東京都を潤すのです。そして地方自治の未来へと、大きく羽ばたく密かなる先行投資となるのです。分かりますか?すなわち、これは、この町をちょっと元気にするための秘密の魔法。」
 そして、小首をかしげ。
「きっと君は立派な地方自治の眼鏡になりますよ。野村くん。」
 優しく教え諭した。

 彼らの会話を横で聞きながら、沈黙を守っていた高瀬が、遠慮がちに眼鏡を光らせ。
「俺……今回は協力します。」
 おずおずと大和に告げる。
「俺は……仲間を人質に取られている辛さを知っているから。忍足さんを助けるために……協力します。」
 高瀬の言葉に、大和は大げさに眼鏡を煌めかせた。そして少し涙声になりながら。
「ありがとう!ありがとう!!高瀬くん!!やはり、君は眼鏡だった!!眼鏡キャラに悪い人はいない!!眼鏡があれば、何でもできる!!私の信じた道は間違ってませんでした!!」
 がばっと高瀬を抱きしめた。
「高瀬!何、たぶらかされてるだ!!」
 北村の叫びも空しく。高瀬はうきうきとスキップを始めそうな大和に肩を抱かれ、すでに逃げられない状況に陥っていた。

「どうも柳生くんは間に合わないようですね。」
「ルドルフで合流するとのコトです。」
 大和の問いかけに、室町が穏やかに応じ。
「仕方ありませんね。さぁ!地方自治の未来のために!忍足くんを助けに行きましょう!」
 ぞろぞろとインテリゲンチャーたちは仲間を助けるために歩き出す。闇迫る住宅街の一画は、眼鏡の逆光に満ちあふれていた。



「ジャッカルはどうした?」
 真田の声に、柳は静かに周囲を見渡して。
「……いないな。」
 少し困惑したように応じた。ジャッカルが挨拶もなく帰るなど考えられない。一日一悪のために、こっそり帰ったかとも思ったが、それにしては部室に着替えも鞄も置きっぱなしであって。
「……おかしい。」
 小さな胸騒ぎを感じ、柳は鞄からノートパソコンを取りだした。確か、ジャッカルのストップウォッチに付けた発信器は、まだ動いているはず。それを辿れば、ジャッカルの居場所は突き止められる。
 かちゃかちゃとキーボードを打つ柳の手が、小さく震えた。
「……なぜ……ジャッカルが東京にいるんだ。しかも……ゴクラクダーの秘密のお部屋に。」
 柳は淡々と驚き。
「何だと?!それは……たまらん新展開だ!」
 真田の叫びに、部室の隅でお菓子の奪い合いをしていた切原と丸井が、はっと顔を上げる。
「何かあった?」
 ポテトチップスを頬張りながら、問いかける丸井。
 真田は眉をひそめて。
「悪の時間厳守人ジャッカルが……東京に攫われた。」
 厳かに事実を告げた。

 ……ジャッカル先輩……またっすか!攫われすぎっす……!
 と、言いたくなる気持ちをぐっと抑え、切原は周囲を見回した。表情を変えない柳さえも、少し青ざめているように見えた。

「……助けに行くんだろぃ。真田。」
 丸井がラケットバックに菓子を押し込み、勢いよく立ち上がる。口元にはワルサー5号がぷぅっとふくらんでいた。
「当然だ。」
 真田が低く応じると。
「「待ちたまえ。」」
 きらり。何かが不自然な光を放つ。部室の戸口には、凛として立つ柳生たちの姿があり。
「「ワタシも行きます。」」
「柳生よ。その気持ちはたまらんが……お前は俺たち悪とは違う。」
 眼鏡戦隊の柳生たちと、悪の真田。彼らの進む路は全く方向が異なっているはずで。部活では共に汗を流す仲間であっても、それ以上の何者でもなく。ジャッカル救出のために、なぜ危険を冒してまで、柳生たちが協力してくれるのか分かりかねて、真田はまっすぐな視線を向けた。

「「ワタシにも、行かなくてはならない理由があるのです。」」
 再び、眼鏡が光った。

 その熱い逆光のパワーに、真田は、眼鏡には眼鏡の事情があるのだと悟り、目を閉じた。
「分かった。では、共に行こう。しかし。」
 そして、言葉を切り、刮目し。
「……仁王はどうした?」

 真田の前に立つ柳生たちは、珍しくリアクションに窮し、一瞬、フリーズした。
 ぱたりとノートパソコンを閉じながら、柳が助け船を出す。
「あの詐欺師のコトだ。どこかから我々を見ていて、何かあったらきっと力を貸してくれるコトだろう。」
「ふむ。そうか。たまらん!たまらん詐欺師だ!」
 納得した様子で、真田は何度も頷き、ラケットバックを担いで立ち上がる。
 たまらんのはむしろ、副部長の方っす!!
 と、叫びたい心をぐっと抑え、切原も立ち上がる。自分に代わって、果敢に突っ込んでくれるジャッカルを救い出すために。
 部室の扉を開けば、外はもう闇に覆われて。
 夜が目の前まで迫っていた。



 いつの間にか、ゴクラクダーの秘密基地は人で溢れていた。椅子という椅子を総動員し、足りない分は、コートのベンチまで持ち込んで、何とか全員が腰を下ろす。
 ゴクラクダーの不二、観月、千石、淳、芥川。
 ダイブツダー後方支援の桜井と東方。
 悪の立海のジャッカル。
 邪の千葉の黒羽。
 インテリゲンチャーの忍足。
 彼らは観月のツッコミ戦隊ハリセンジャー構想を聞いて、すかさずその戦隊名にツッコミを入れ、それからしばらくの間、沈黙のままお互いの顔を見合って。

「要するに、悪いようにはしないから、今いるトコを抜けて、新しい組織に参加しろって話か?」
 ジャッカルが低い声で確認する。
「んふ。よくお分かりですね。そうです。そういうコトですよ。」
 応じる観月に、忍足が笑った。
「インテリゲンチャーやダイブツダーや、神奈川や千葉のメンバーをちょっとずつ引き抜いて、全部崩壊させようって魂胆やろけど……あいにくやったな。インテリゲンチャーはそんなヤワやない。俺が抜けたトコで、地方自治の未来も、眼鏡のための眼鏡も、びくりともしない。俺を引き抜いたってムダやってこと。」
 そして、眼鏡をずりあげて。
「ついでに言うとな。俺は関西弁眼鏡キャラやけど、ツッコミキャラやないで?そこんとこ、誤解しないでな?」
 きらーん!と不自然な逆光を放った。
 さすがは、眼鏡の奥に仕掛けがあったりなかったりだ!と、居並ぶツッコミキャラたちが心の中でツッコミを入れる。

 忍足の言葉に一番動揺したのは、ゴクラクダーではなく、桜井だった。ずっと視界の端で桜井の様子を見、気遣っていた東方は、大きく息を吐いて。
「俺も下りる。」
 はっきりと言い切った。
「お前達は……ツッコミというモノを分かってない。ゴクラクダー。」
 音もなく立ち上がった東方が、周囲を見回して、もう一度長く息を吐く。
「ツッコミは、ボケのそばにいなくては意味がない。ツッコミだけで群れたところで、役には立たない。山の上のタコ壺のようにな!」
 桜井ははっとして、顔を上げた。
 その比喩、意味、分かるけど、なんかがオカシイですよ!!東方さん!!

 がたりと椅子が揺れる音がして。
「そういうコトだ。俺も抜けさせてもらう。」
 黒羽が大きく伸びをして、立ち上がる。
「俺のツッコミを待っているやつがいるもんでな。」

 ピッとストップウォッチを止めて、ジャッカルも口を開く。
「悩むまでもない。俺はもう一日一悪を達成している。部活の片づけをさぼっただけで十分だ。もう、今日はしやしないさ。仲間を裏切るなどという悪いコトは、な。」
 桜井に軽くウィンクすると、ジャッカルは紫色のストップウォッチをポケットに押し込んだ。

 桜井はぐっと下唇をかむ。東方がゆっくりと、桜井の前の立った。
 ごうっと、風が窓ガラスを揺らし、音を立てる。
「俺がいなくてもダイブツダーは、南は平気だろう。だが……桜井。お前が居なくては、石田は何もできないやつだ。それにBGM担当者がいないのも困る。お前はダイブツダーに欠かせない男だ。」
 おっとりと言葉を紡ぐ東方が。
「帰ろう。桜井。俺たちが居なければ、ボケ倒しの橘に誰がツッコミを入れるんだ?」
 その大きな右手を差し出して。
「……ツッコミなら、南さんが。」
 そう応じながらも。
 桜井は自らの右手をそっとさしのべ、東方の気持ちに応えた。
 そうだ。ボケがいないのに、ツッコミだけ集まったって、ダメなんだ……!

「残念でしたね。んふ。」
 観月が少し不満そうに呟いて。
「まぁ、仕方ないよ。(にこ)」
 穏やかに微笑みを浮かべながら、周助は裕太のロッカーに大量の七味せんべいを押し込んだ。
「今日も東京が無事で、ラッキー、ってトコかな。(にたにた)」
 なんだかんだ言つつも、楽しかった一日を振り返って千石が笑うので。
「くすくす。千石くんは気楽でいいね。」
 淳ももらい笑いをしながら、芥川を蹴飛ばした。
「zzzzz……」
「置いてっちゃうよ?芥川くん?くすくす。」



「あれ?なんでお前ら、こんなトコに?」
 千葉に行く電車が通る大きな乗換駅のホームで、黒羽は驚きの声を上げた。目の前には、なぜか見慣れた邪の仲間たちがいて。
「そりゃ、バネが無断で部活さぼるからでしょ。」
 時刻表を見上げていた佐伯が、にこにこと振り返る。
「迎えに来たよ!!バネさん!!バネさんをだしに全員で部活さぼるなんて、ボクたち、すごい邪だよね!!」
 飛びついてくる葵を軽くいなしながら、黒羽は仕事帰りの人の波を避け、壁際に移動し。
「なんだよ、全員で来たのかよ。」
 脱力したように苦笑した。
「バネ、ごめんなのね。俺、嘘付いたのね……。」
「あー?」
 くしゃっと、黒羽は樹の髪をかき混ぜ。
「淳が、樹ちゃんに謝っておいてってよ。それから、ありがとうだってさ。」
 そう言って、にっと笑った。電車がホームに滑り込んでくる。

「バネさん……。」
 みんなの後ろを、邪虎丸を担いでとことこ付いてきていた天根が、意を決したように声を掛ける。
「あんだよ?ダビ。電車で来るなら、邪虎丸持って来なくても。」
 振り返った黒羽に、天根は。
「邪虎丸持ってこないんじゃ、困る……ぷぷっ。」
 わざわざネタを仕込んで来ただけのコトはあるタイミングで、ダジャレをぶちかまし、完璧なツッコミを額に喰らって、ホームに倒れ込んだのであった。



 きらーん!
 忍足がインテリゲンチャーの眼鏡たちと再会したのは、ルドルフの最寄り駅のすぐそばであった。
 きらーん!
 彼らには言葉は要らなかった。ただ、そこに眼鏡があれば良かった。
 忍足の無事を喜ぶ眼鏡たちと、わざわざ助けに来てくれた仲間たちの優しさを喜ぶ伊達眼鏡。
 静かに夜の町を乱反射の逆光が駆けめぐって。
「良かったです。忍足さん……。」
 高瀬はわずかに涙ぐみながら、忍足に向けて、熱い輝きを贈った。

「自分から深みさはまっで、どげんすんなんす!高瀬!!」

 インテリゲンチャーの本部に囚われた北村の叫びも空しく、高瀬はひたすらに、インテリゲンチャーへの道を進みつつあった。



 若葉をかき乱しながら、夜風が吹く。
「無事だったか。ジャッカル。」
 手の中でストップウォッチを弄びながら歩いてきたジャッカルに、低く柳が声を掛けて。
「うおっと。なんで、お前ら……。」
 びっくりして目を見開くジャッカルを追いつめるように、丸井がずいっと歩み寄った。
「お前!部活の片づけ、さぼっただろ!」
「わ、悪い。」
 丸井はぷぅっとワルサー5号をふくらまして、しばらくジャッカルを睨んでいたが。
「お前が片づけねぇと!誰も片づけねぇだろうが!!」
 言うなり、くるりと背を向けて、今来た道を戻り始めた。
「たまにはお前も働け!!!」
 その後ろ頭を、ぱしっと叩いて、ジャッカルも歩き出す。切原は思った。ジャッカル先輩がいてくれて良かった……と。いろんな意味で、マジで良かった……と。

「ああ。ジャッカルを回収した。……そうだな。いつの間にか柳生達は消えている。……うん?そうだ。弦一郎はまだ仁王を捜しているよ。……うん。分かっている。じゃ、おやすみ。幸村。」
 柳が淡々と幸村に報告の電話をする間、真田は「物陰から見守っているたまらん詐欺師」がどこにいるのだろうか、と考えて。いろいろと素敵な可能性を検討し尽くした結果。
「たまらんほどに、たまらん詐欺師である!」
 と結論づけていた。
「何がだよ!」
 納得顔の真田に対し、ジャッカルのストレートツッコミが炸裂する。切原は思った。ジャッカル先輩がいてくれて良かった……と。いろんな意味で、マジで良かった……と。



 ルドルフの教会堂の屋根が見えてくる辺り。閑静な住宅街の静かな夜の向こうから、人影が走り寄る。
「橘さん!石田!!」
「南!!」
 探し求めていた人の姿。そして、元気そうなその声。
 ふぅっと、肩の力を抜いて、桔平は立ち止まり。
「無事なら、それで良い。」
 小さく笑顔を見せて、踵を返し歩き出した。

「何だったんだ。一体。」
 大石の問いかけに、東方は肩をすくめ。
「ゴクラクダーのやつらが言うには、俺らと忍足と黒羽とジャッカルの五人で、世界平和のために戦うべきなんだと。」
「……なんだそりゃ。」
「ホント、なんだそりゃ、だよな。」
 言いながら、大石を促して歩き始める。

「そうなのか?!ホントに戦うのか?桜井?」
 目を見開いて尋ねる石田に、桜井は一瞬困惑し、それから軽く吹きだして。
「世界平和はお前が守ってくれるんだろうがよ。」
 笑いながら、桔平の背を追った。
 いつの間にか、突風は止んで。静かな初夏の夜風が、彼らの頬を撫でて駆け抜けてゆく。

 南は。
 黒羽も忍足もオールバックじゃないし、ジャッカルに至っては髪すらねぇぞ?!と、突っ込みたかったのだが、そのタイミングを逸したことを悔しく感じて。
 そして。
 こんなコトで悔しがれる平和を噛みしめた。
「ほら、南〜!ぐずぐずしてっと、宿題やる時間、なくなるぞ?」
「ってか、東方、お前、今日の宿題、いつやったんだよ!」
 それから。
 南は、まっすぐに背筋を伸ばし、仲間達の方へ、力強い一歩を踏み出した。 




<次回予告のようなもの>


「おい、菊丸。結局、何だったんだ?今日の騒動は?」
「分かんないけど。あのさ、跡部、これ、喰ってみ?」
「あーん?なんだ?この下賤な菓子は。ぱくっ。」
「ハバネロ。イケるだろ?」


「……杏ちゃ〜ん、跡部が口きいてくんない〜!!」
「何やったの?菊丸さん?!」
「何もやってない……。菓子分けてやっただけなのに〜。」
「もぉ!二人とも中三なのに、お菓子なんかで喧嘩しないでよ!!」


次回!
人呼んで風林火山!?お楽しみに!!






もう、何を謝ったら良いのか分からないけど、謝らせてください。
すみません。ホント。
そしてまた続いちゃいましたの。こちら

よろしければブラウザの戻るでお戻り下さいです。