「しかし亜久津、なんで太一のげた箱なんか覗いたんだろうな?」
 南の素朴な疑問に、千石も腕を組んで首をかしげて。
「ラブレターでも入れようと思ったのかなぁ?」
「……いや……それはないだろう?太一のげた箱だぞ?」
「あるいは……。」
 千石は俯きがちに呟いた。
「……俺が太一の靴、入れ替えて悪戯してたトコ、見られたかな……?」
「……おい!」
 ぴちっと、南の手のひらが千石の額を打つ。
「ひどいよ。南くん!いきなりぶつなんて!!」
「ひどいのはどっちだ!後輩の靴に悪戯するなんて、中三として恥ずかしくないのか!」
 もだもだと身もだえして見せる千石。
 ぴちぴちと、南は千石の額を叩き。
 昼下がりの風が、カーテンを揺らして吹き抜けてゆく。

めでたしめでたし。

「って、おい!これで終わりかよ!」










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