超☆秘密のジャッカルボタン。




 それは唐突なできごとだった。
 見舞いに来た真田を連れて、屋上へと足を運ぶ幸村が。
 ずっと黙って、遠い町並みを見守っていた。
 そんな最中に。
 唐突に。

「ファイヤーっ!!!」

 仰天した真田が駆け寄ってみれば。
 いつも通りの穏やかな笑顔を見せる幸村。
「ゆ、幸村……?!」
「ふふ。ちょっと叫んでみたかったんだ。」
「た、たまらん……。」

 そんな病院の夕方。
 真田は深く帽子をかぶりなおした。

「真田も一緒に叫んでみない?結構、楽しいよ。これ。」

 夕陽が雲を染めながら、ビルの狭間に沈んでいく。屋上から見える夕暮れは、やけに明るくて。
 真田はちょっとだけ、ファイヤーと叫んでみたい気もしたが、今日のところはやめておくことにした。





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