秘密のジャッカルくん。




 幸村がいない部活。
 それは、いつだってみんなに「何か足りない」という気持ちを抱かせて。
 練習を終えたあとも、いつまでもコートでぼんやりと、いるはずのない幸村を捜していたりする。
 そんな夕方。
 座り込んでいたジャッカルが唐突に立ち上がった。

「ファイヤー!!!」

「ジャッカル、いきなり英語で叫ぶなよ!!びっくりすんだろ!!」
「悪い。」

 丸井がガムをかむ。
 ジャッカルは空を見上げ。
 テニスコートを包む夕闇は、だんだんと深まっていく。
 汗をぬぐいながら、ジャッカルは小さく息をつき。

「……火っ!!!」
「……日本語にすりゃ良いってもんじゃねぇぞ。」

 そして丸井はガムをふくらませ。
 ジャッカルは日本語だとなんでこんなに盛り上がらないんだろう、とちょっとだけ、どきどきした。





ブラウザを閉じてください。