平家の謎を追え☆





平家の謎を追え☆ 経正篇。

将臣「経正。あのさ、一つ聞いて良いか?」
経正「何でしょう?」
将臣「や。なんつうか、あのな。……経正ってさ、怨霊なんだよな?」
経正「はい。」
将臣「その……ずっと気になってたんだけど。」
経正「還内府殿。どうぞご遠慮なく。私は何でもお話いたしますよ。」
将臣「や……悪ぃ。なんかその……ただ気になってるだけなんだけどよ。」
経正「はい。」
将臣「お前ら……酒飲んだり飯食ったりしてるよな?敦盛もこの前、譲の作った弁当食ってたし。」
経正「ええ。それが何か?」
将臣「……その、あの……えっとな。怨霊も……厠に行くのか?」
経正「ああ。そのようなコトでしたか。」
将臣「すまん。どうしても気になって。」
経正「いつの時代も美形は厠になど行かないものなのですよ。還内府殿。」
将臣「……?!」




平家の謎を追え☆ 敦盛篇。

将臣「敦盛。あのさ、一つ聞いて良いか?」
敦盛「はい。」
将臣「お前さ、その……ときどき暴走するときあるだろ?」
敦盛「は、はい。申し訳ありません!」
将臣「や、そりゃ良いんだけどよ。暴走してるとき、その着物着てねぇよな?」
敦盛「え?あ、はい。」
将臣「でも元に戻ったら、気を失っててもちゃんと着物着てるよな?」
敦盛「はい。」
将臣「あれって、どうなってんの?」
敦盛「私は怨霊ですから着物も私の身のうちなんです。この姿に戻れば着物も元に戻ります。」
将臣「へ?着物もお前の体の一部なの?じゃ、こんな感じで触るとくすぐってぇとか?」
敦盛「……あ……おやめください……!還内府殿……!」
将臣「……マジで……?」
敦盛「……はい。」
将臣「着物が体の一部っつうと、お前、裸で歩いているようなもんか。」
敦盛「……!」
将臣「いやいやいや。いまさら、頬染めて俯くな……!」



平家の謎を追え☆ 惟盛篇。

将臣「惟盛。あのさ、一つ聞いて良いか?」
惟盛「……気はすすみませんが、しかたありませんね。」
将臣「あのさ、チュー吉っていつもどこ住んでんの?」
惟盛「……私に分かるように話してくださいませんか……?」
将臣「悪ぃ。なんだっけ。鉄鼠?」
惟盛「ああ。鉄鼠ですか。田舎者はこれだから……。」
将臣「いいだろ。チュー吉って呼んだって、あいつ、返事するぜ?」
惟盛「品のない名で呼ばないでください!私の可愛い鉄鼠を!」
将臣「や、悪ぃ。」
惟盛「しかし鉄鼠の居場所を聞いてどうするつもりです?」
将臣「別にどうもしねぇけど、ちょっと気になってさ。」
惟盛「ならどこに住んでいようと良いでしょう!」
将臣「そうだけどよ。桃子も梅子も知らねぇって言ってたし。」
惟盛「誰です。その頭の悪そうな名前は?」
将臣「よくお前の両脇小さい怨霊の子たち、いるだろ?」
惟盛「……!」
将臣「あいつら、よく俺の部屋に遊びに来るだけど、良い子たちだよな。」
惟盛「……!」
将臣「あ、今度お前も遊びに来いよ?麻雀やんのに一人足りねぇんだ。」




平家の謎を追え☆ 清盛篇。

将臣「あのさ、一つ聞いて良いか?」
清盛「何だ?」
将臣「最近、ちょっと小さくなった気がしねぇ?」
清盛「違うぞ。重盛。お前が大きくなったのだ!」
将臣「……や、そうじゃねぇと思うんだけどな。」
清盛「父には分かる。お前は立派になったぞ。もう見上げるほどだ!」
将臣「……えっと。」
清盛「父を越えてゆけ!我が息子重盛よ!」
将臣「……そ、そういやさ、その羽、似合ってるぜ?」
清盛「そうか。重盛はこの羽が気に入ったか!父は嬉しいぞ!」
将臣「……ああ。」
清盛「そうだ!今度、重盛にもつけてやろう!」
将臣「あ、いや、俺はいらねぇって。」
清盛「なぜだ?似合うと思うぞ!父とおそろいは嫌いか?」
将臣「や、そういう問題じゃなくてな……?」



平家の謎を追え☆ 忠度篇。

将臣「忠度殿、あのさ、一つ聞いて良いか?」
忠度「遠慮なく申されよ。」
将臣「……忠度殿は……自分の生き方に誇りを持っている、よな?」
忠度「……平家として、武士として、人として恥じることはないつもりだ。」
将臣「そっか。じゃあ、良かった。」
忠度「なぜそのようなコトを?」
将臣「あのな……俺、自分の世界にいたときから……あなたに憧れていた。」
忠度「……わしに?不思議なコトを申される。」
将臣「ああ。薩摩の守平忠度。その名前に俺はずっと憧れてたんだ。」
忠度「名誉なことよな。還内府殿にそのような言葉をいただけるとは。」
将臣「いつだって薩摩の守を目指して、俺は戦っていたんだぜ。」
忠度「それはありがたきこと。しかし……なぜ?」
将臣「なんていえばいいのかな。江ノ電は……薩摩の守の楽園でよ。」
忠度「……えのでん?」
将臣「あなたに会えて良かったぜ。」
忠度「……還内府殿がそう申されるなら、わしも喜ぶこととしよう。」



平家の謎を追え☆ 時子篇。

将臣「尼御前、あのさ、一つ聞いて良いか?」
時子「何なりと。」
将臣「『あまごぜ』って『あまごぜん』じゃねぇのな?」
時子「ええ。」
将臣「『ん』はどこに行ったんだ?」
時子「清盛公がお隠れになったときに……形見として差し上げたのです。」
将臣「……ん?」
時子「ですから、今のあの方は、この尼の『ん』をお持ちなのです。」
将臣「……それってどういう意味だ?」
時子「要するに、今、あの方は『きよもりん』なのです。」
将臣「……妙に可愛いな。それ。」



平家の謎を追え☆ 知盛篇。

将臣「知盛、あのさ、一つ聞いて良いか?」
知盛「何だ?」
将臣「重盛って……どんな人だったんだ?俺にそんなに似ていた、のか?」
知盛「兄上か?そうだな。父上がお前と見誤るのもムリないほどに。」
将臣「どこが似てんだ?」
知盛「くく。気になるか。」
将臣「当たり前だろ?重盛って……異世界から来た人だったりしたのか?」
知盛「まさか。兄上は平家の一門の出だ。」
将臣「じゃあ、何が似ているんだ?いい加減なトコとかか?」
知盛「いや、兄上は思慮深い方だった。」
将臣「漢詩とか和歌とかダメなトコ?」
知盛「教養のある方だったぞ。兄上は。」
将臣「うーん。そうだな。なら、惟盛に嫌われてるトコとか?」
知盛「惟盛は兄上を格別に慕っていた。」
将臣「そりゃそうだよな。……じゃあ、お前より年下の兄だったとか?」
知盛「そんなはずあるか!」
将臣「だよなぁ……だったらどこが似てるんだ?全然似てなくねぇか?」
知盛「珍しく意見が合ったな。俺も今そう思ったところだ。」




平家の謎を追え☆ 将臣篇。

知盛「有川、一つ聞きたい。」
将臣「ん?」
知盛「なぜお前は南へと落ち延びたがる?」
将臣「なんでって……源氏が来ねぇトコ探すためだろ。」
知盛「西でも東でも良かろうが。」
将臣「いや、南が良いんだ。って、お前、なんでそんなに南に逃げるの嫌がるんだ?」
知盛「南は暑い。」
将臣「鎧脱げば良いだろ。」
知盛「裸になれと言うのか?」
将臣「お前、鎧か全裸か二択しかねぇのかよ!普通に服着ろっての!」
知盛「……で、なんで南が良いんだ?」
将臣「ちっ。ごまかしやがって。ま、良いか。……あのな、俺にはすげぇ野望があるんだ。」
知盛「野望?」
将臣「おう!だけどその野望にはお前の助けがいる。お前っていうか、お前の息子の。」
知盛「……息子、か?」
将臣「おう!お前の息子が生まれたらな、俺が名前付けてやるから。俺の予想が正しければ、そいつがすんげぇ美味い酒を造るはずなんだ。」
知盛「ほぅ。美味い酒、か。しかし、なぜそう思う?」
将臣「俺は知っているからな。」
知盛「……何を?」
将臣「まぁ、気にするな。とにかく一緒に南に落ちるぜ?で、お前の息子には俺が名前を付ける。」
知盛「何という名前を付けるつもりだ?」
将臣「決まってんだろ。平泡盛だ!」









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