新世界より〜氷帝篇。
<冒頭文企画連動SS>



「寝るな!ここで眠ったら死ぬぞ!」
 ん〜。宍戸の声がする〜。
 眠ったら死ぬのか〜。う〜。死ぬのは嫌だな〜。
 でも、俺、寝る〜。だってほら、あれだよね〜。寝に腹は替えられないっていうじゃんね〜。眠いときは、お腹減ってても寝ちゃうんだよ〜。
 あ〜眠ぃ〜。
「……おい!慈郎!」
 残念無念〜。止めてもムダだもんね〜。俺、寝ちゃうよ宍戸〜。
 だってほら、寝る俺は育つ……zzzz
「……マジで寝やがった。」
「すごいですね。慈郎先輩。」
 ふぁ……すごいだろ〜。もっと褒めて鳳〜。
「すごいっていうか……交差点のど真ん中でいきなり寝るって、ありえねぇだろ。」
 ためいきなんかついてるし宍戸〜。
 甘いな〜。ありえるんだな〜。俺すごいからどこでだって寝ちゃうよ〜。
「どないするん?これ。」
 苦笑してる忍足〜。
「……しょうがねぇな。運べ。樺地。」
「うす。」
 お〜。体が浮いた〜。樺地力持ち〜。
 樺地ってすごいよね〜。俺感動〜。
 ってか、樺地が大変になると可哀想だから、俺、けっこう気を遣ってんの〜。あのね〜。これ以上、体重増えないように気を付けてる〜。重いと樺地、きっと大変だから〜。あのね〜。おやつは一日三回までにしてるし〜。ご飯もおかわりは五杯まで〜。
 偉いな俺〜。自分で自分を尊敬しちゃ……zzzz
「この姿勢で起きないとは、慈郎ってばやるねー。」
 ん〜滝の声だ〜。俺何もやってないよ〜。
「……下克上!」
 げこくじょ〜……zzzz


 ……とすん。
「……で、どうするんだ?こいつ。」
「寝たまま、選手登録ってまずいですよね?」
「まずいやろな。」
 ……ふに……?
 あふ……。 
 何〜?何の話〜?
 う〜……あれ〜?樺地の手がない〜。俺、今、ベンチの上で寝てるっぽい〜。樺地って俺のこと上手に運ぶよね〜。すごく寝心地良くて幸せ〜。優しいよな樺地〜。俺のこと、大事にしてくれて感動〜。ま〜俺はジロウ王国の王子様だから大事にされて当然なんだけどね〜。なんせ王子様だから、俺、端より重いモノは持ったことないんだよね〜。なんでラケットとかって、真ん中より端の方が重いんだろうね〜?不思議〜。ホント、端って重いよね〜。俺、生まれ変わるならラケットの端っこになりたい〜。んで、「なんでこんなに重いんだ〜?」ってびっくりされてみたい〜。
「声、かけてみましょうか。」
「そんなんで起きるようなヤツじゃねぇくらい、知ってんだろ?長太郎。」
 またためいきとかついてるし宍戸〜。
 ダメだな〜。もっと前向きに生きなきゃダメだよ〜。起こしてダメなら寝かしてみろっていうでしょ〜。
「良いこと考えた!!ジロのまぶたに目玉描いてやろうぜ!」
「……あーん?」
 まぶたに目玉〜?ん〜?なんか美味しい展開っぽいね〜。
「なるほどな。それで起きているように見せかけるか。」
 うわ〜。なんか美味しい展開〜。寝たままそんな良い感じな展開は珍しいよね〜。
「おい、待て!跡部!」
 止めるなよ宍戸〜。
「そうや。ちょい待ち。それは油性ペンや。せめて水性ペン使い?」
 ん〜。そうか〜。確かに油性ペンはちょっと後で面倒かな〜。
「でも、侑士!水性ペンって赤しか持ってないよ!」
 赤い目か〜。誰かいたよね〜。なんだっけ〜。立海〜?丸井くんの後輩の子で、目が赤い子〜。う〜ん。それも美味しいかも〜。どうでもいいけど、美味しいと大石って似てるよね〜。大石って美味しいのかな〜。丸井くんなら食べたことあるかな〜。今度聞いてみよう〜。
「赤い目はやめた方がいいかもねー。」
 そうか〜。滝が言うならやめた方が良いかもね〜。
「じゃあ、おでこに『肉』って書こうぜ!」
 ん〜向日ナイスアイディア〜。それもかなり大石〜。違った〜。それもかなり美味しい〜。
「向日先輩!」
「ん?日吉?どしたの?」
「『肉』ではなく……!」
「ん?」
「日本人なら『せんべい』……!」
「そっか!そうだよな!じゃ、『せんべい』にしよう!!」
 おおお〜。すごい斬新〜。おでこに「せんべい」〜。おしゃれ〜。
「はい!侑士!」
「何や。俺が書くの?」
「うん!」
「どうせ書くなら俺は『せんべい』よりも『かす汁』とかがええけどなぁ。」
「じゃあ、両方書けよ!あ、あと『納豆』も書いといて!」
 む〜。みんな自分の好物ばっかりでずるい〜。俺の好物も書いてくれればいいのに〜。俺のおでこなんだぞ〜。
「そろそろ遊ぶのは終わりねー。」
 また滝の声〜。そうだよね〜。やっぱ「羊」書かないとダメっしょ〜?
「選手登録行かないとそろそろ本当にまずいよー?」
 まずくないよ〜。「羊」はすごく美味しいよ〜。食べたことないけどきっともこもこしていてすごく美味しい〜。大石〜。美味しい大石〜。なんか良い響き〜。
「しょうがねぇな。あれを……やるか。」
 宍戸の声〜。
 やるかって何くれるの〜?羊〜?
 跡部がね〜。羊の毛は美味しくないから食べられないって言ってたけど、それは跡部騙されてると思う〜。絶対、羊の毛って、もこもこしてて大石〜。絶対、大石〜。ん〜?もこもこ大石〜?……む〜?大石ってもこもこしてたっけ〜?もこもこしてるのは、大石より羊だよね〜。
「よし!じゃあ、やるか。作戦リストはどこだっけ。えっと。」
 向日がやる気満々〜。
「おっし!これだ!作戦ナンバー59くすぐり大作戦は失敗だったから、次だな!作戦ナンバー60!鳳が慈郎にスカットサーブをぶつける大作戦だ!」
「えええ?!」
 何?何〜?鳳ってば何を驚いてるの〜?
「待ってください!俺が慈郎先輩に……?」
「鳳、頑張れー。」
「滝先輩!応援していないで止めてください!!」
「大丈夫や。慈郎には宍戸がそこで寝たら死ぬって最初から警告してるやん。死んだら慈郎が悪い。」
「忍足先輩!そういう問題じゃないですよ!」
「心配するな。長太郎。俺が攻めに変えてやる。」
「攻めに変えなくて良いです!起こすだけです!」
 なんか鳳がむちゃくちゃ困ってるみたいだけど〜。みんな、ダメだよ〜。鳳は良い子なんだから困らせちゃいけないぞ〜。
「やるのか?やらねぇのか?あーん?」
「だって、俺のサーブがもし慈郎先輩にぶつかったら……!」
「当てる自信がねぇのか?あーん?」
「そ、そうじゃなくて、えっと。なんか言ってよ。日吉!」
「下克上!」
「そうだ。下克上だ。なぁ、樺地?」
「……う、う、うす。」
「お願いです。他の作戦にしてください。あの、俺。」
 鳳、なんか泣きそう……ダメだよぅ。鳳をいじめちゃ。
 ダメ、だよ……?

 っていうか!!!!

 鳳をいじめるヤツは俺が許さない!!
「何!何!みんなで何で鳳いじめてるの?!」
 ぴょん!と跳ね起きた俺に、みんなマジびっくり!!
 超びっくりしてる宍戸とか、なんかマジ面白E!!
 何?何?楽C!!みんなの反応、超楽C!!
「慈郎先輩〜!!」
 鳳がひしって俺にしがみついてきた!!
 よしよし!!怖かったよな!!悪い先輩が寄ってたかっていじめてきたんだもんな!!俺が助けてやるから、もう心配いらないぞ!!
「正義の味方慈郎が起きたからにはもう大丈夫!!」
 そう言って俺が胸を張ったら、忍足がいきなり吹きだした!!
 何で?何で?そんなに俺、素敵だった?!
「慈郎。顔洗って来い。選手登録行くぞ。」
 宍戸が言った!なんで顔洗うの!?よく分からないけど、ま、いいや!
 そういや今日ってテニスの大会だっけ!選手登録!選手登録!!そんな重要なときには、早く起こしてくれたら良いのにね!!
 さあ!今日も試合頑張るぞ!!







☆☆15万ヒット記念☆ぷち企画☆☆
   <今回のいただき冒頭文>
「寝るな!ここで眠ったら死ぬぞ!」

どうもありがとうございました!




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